最遊記外伝の記事レビュー
こんにちは。ひろきてぃです。
あなたも漫画を読んでいますか?
私はまだ最遊記RELOADを読んでいる途中ですが、以前の記事に書いた『最遊記』『最遊記RELOAD』そして『最遊記RELOADBLAST』に続く物語をより深く楽しむためにこの作品を紹介していこうと思います。
その作品とは「最遊記外伝」です。
最遊記外伝とは?
『月刊Gファンタジー』で1999年から2003年まで連載されており、その後『コミックZERO-SUM増刊WARD』にて2003年から2009年まで連載された。単行本は全4巻
本作の物語は『最遊記』『最遊記RELOAD』そして『最遊記RELOADBLAST』へと引き継がれていく。そのため、本作登場キャラクターが本編の登場キャラクターに関わりを持ちます。
最遊記外伝
作者 峰倉かずや
出版社 エニックス (現・スクエア・エニックス)→ 一迅社
掲載誌 月刊Gファンタジー→コミックZERO-SUM 増刊WARD
発表期間
月刊Gファンタジー 1999~2003
コミックZERO-SUM 増刊WARD 2003~2009
巻数 全4巻
あらすじ
『最遊記』シリーズ本編の前日譚に相当する物語。
『最遊記』の時代から遡る事500年、舞台は神々の住まいし天界に1人の子供が連れてこられた。
下界の巨岩から生まれ、災いの象徴とされる金晴眼を持つ幼児。黄金の瞳を持つ少年・孫悟空。
天界で永遠のような退屈を過ごしていた金蝉童子は、観世音菩薩の命により、その幼児を育てることになる。
黄金の瞳を持つ少年・孫悟空の出現によって、常に桜咲き誇る常春の世界が、ゆっくりと確実に希望と破滅に向かって動き出す。
『お前は誰かの太陽でいられるか?』
この物語から、最遊記が始まる!
最遊記シリーズとの相違点
最遊記シリーズとは違い舞台が天界となっております。全体的に浮世離れした世界観になっていて、極楽浄土のイメージです。
しかし、天界に軍人がいたり帝がいたりこちらの世界と変わらない部分もあります。上層部が腐敗しているというのも親近感が湧きます。ふわふわしていて優しい雰囲気ではないですね。
最遊記本編とよく似たおもかげを持っている登場人物が出てきます。彼らの転生前の姿なのか同じ魂を持つ別人なのか定かではありませんが彼らと悟空とのやり取りも必見です。
作品の見どころ
最遊記の時代よりも遥か前の時代の物語となっています。原典の西遊記も悟空が天界で暴れてお釈迦様に、地上へ追放されますよね。最遊記では、原典とは異なった結末で書かれています。
最遊記外伝は本編よりも過去に起こった物語で、ネタバレしてしまうと悟空はこの作品で「たいせつなもの」を失います。悟空に待っているのは別離です。
そして、どのように三蔵と出会うのか、なぜ悟空は山頂へ閉じ込められていたのかが判明します。
外伝は涙なしでは読めない作品です。この頃の悟空は本当に小猿ですが、いい子です。そして「彼ら」によく似た人物が出てきます。本編との微妙な違いも確認してみてください。
連載年数が、長いので絵柄がめちゃくちゃ変わっているのも密かに楽しめますよ(笑)
最遊記の前日譚ですので、外伝に登場する最遊記ゆかりのキャラクターが限られています。ですが、外伝だけ読んでも話の流れはあまり気にしなくても大丈夫なようになっています。
峰倉作品特有のキャラクター同士の掛け合いもあります。それがとても自然で読んでいて面白いのでつい最遊記の世界に惹き込まれてしまいます。
絵柄は、最遊記の連載当時のものですので古臭いです。しかし、最遊記の記事で書いたようなBL臭さはありません。一巻ではあまり派手な戦闘シーンはありませんので、単調とかではないです。
戦闘よりもキャラクターの心理に比重を置いているように見受けられました。漢詩の引用や井伏鱒二の引用などもあり、密かに勉強もできます。
作品全体を通していえることは、この作品は悟空は「たいせつなひとたち」を失います。それが、本編の誰かを失うことに対して強烈なトラウマに繋がっていくのです。
本編の悟空は精神的にも強くなっているので、彼なりにうまく消化していますが、外伝の頃の悟空はまだ小猿ですので心に深い傷をおってしまいます。
「たいせつなひと」を失うシーンは本当に感動します。彼らの生き様をまざまざと見せつけてくれて、すごく彼ららしく死んでいきます。死に様も潔くてカッコ良いです。
殺しても死ななそうなキャラクターだけにあんな感じにいなくなるのかという喪失感もたまらないです。
最終巻のラストの観世音菩薩がめちゃくちゃ良くて、普段は仕事しなくて卑猥で淫猥な適当なイメージですが、優しすぎるんですよね。まさに菩薩ですよね。おいしいところを持っていきます。
天蓬と捲簾の大人同士、悪友同士のやりとりや悟空と金蝉の親子っぽいやりとり、金蝉と天蓬の友人としてのやりとり、悟空と捲簾のきょうだいのようなやりとりが必見です。
日常の会話の書き方が、本当に上手いのでキャラクター同士の会話も作品の楽しみの一つです。
外伝はとにかく別れの話ですので終わりに近づいて来る度に泣けてきます。ハッピーエンドな終わり方ではありません。ただ、悟空はある意味よかったのだと思います。
彼にとって一番良い終わりの迎え方だったのだと思います。そして、三蔵と出会い悟空はまた走り出すのです。
作品の特徴
舞台や登場人物などは原典の西遊記をモチーフにしていますが、内容は当然峰倉先生オリジナルです。悟空と彼らとの出会いと別離を丁寧に描いています。
天界が舞台ですが、神々しい雰囲気というよりもほとんど下界と同じ雰囲気です。下界にある俗な物も出てきますし、良くも悪くも人間味があるキャラクターが多数登場します。
生きること、生きていく、とはどういうことなのかというメッセージをダイレクトに伝えてきます。生きることについて、襟を正していきたくなる作品です。
作品のこだわり
主人公達や敵キャラクターには強烈な個性をつけています。敵の親玉は本当にただの悪人で器の小さな自分勝手なキャラクターです。
烏哭やカミサマなど、遊び感覚で三蔵一行と敵対していてどこか憎めない悪役や紅孩児など信念や目的を持って行動している敵サイドがいるのに対し、外伝の悪役は本当に悪党です。
ですが、とんでもない悪人の方が読者も感情を乗せやすく物語にスッと入っていきやすいのかなと思いました。
キャラクターの退場のさせ方も、ただ闘って死んでいくのではなくてそれぞれの散り方があって峰倉先生のこだわりが見えました。
どんな人におすすめ
最遊記ファンの人達には是非読んでもらいたい作品です。漫画だけではなくOVAなどでも展開されているので、そちらもおすすめします。
最遊記を読んだよという人にも、もちろん読んでいただきたいです。最遊記の前日譚で最遊記、RELOAD、RELOAD BLASTと話が繋がっていくので読んで間違いないです。
順番としては、外伝から読んでも問題は無いと思いますが最遊記を読んでから外伝を読んだ方が「最遊記」という作品を深く知ることができます。
峰倉作品のファンなら、絶対読んでください(笑)
まとめ
最遊記外伝。連載はとっくに終了しているのですが、今でも手に取って読みたい作品です。話の先は分かっているのですが、読む度に号泣します。
そう言えば外伝の表紙も綺麗なんですよね。何となく天界の雰囲気が出ていてキラキラしています。
単行本は、全四巻と短いですが、四巻という巻数の中に濃厚な内容が詰まっていて、読んでいるうちにあれよあれよと、最終巻まで読み進めてしまいます。
最遊記外伝は最遊記の登場人物があまり出ませんが、外伝のキャラクターもいい味出ていますのでそちらも注目してみて下さい。きっと最遊記シリーズの見方が変わってきますよ。
以上。最遊記外伝の紹介でした。
また、お会いしましょう。
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